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厚労省へ要望書提出

                                                             連本第190264号
                      2019年7月26日

厚生労働大臣
  根本 匠 様

                  一般財団法人全日本ろうあ連盟
                  理事長 石野 富志三郎

        聴覚障害者の福祉施策に関する要望について

 時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素より聴覚障害者福祉の向上にご理解、ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、我が国は「障害者権利条約」批准に向けての国内法整備の一環として「障害者差別解消法」を制定し、数年が経過致しました。障害者を取り巻く環境は一歩前進しましたが、聴覚障害者にとっては手話通訳・要約筆記等を含めた情報アクセス・コミュニケーション支援環境は十分とはいえません。
 全日本ろうあ連盟では、聴覚障害者情報提供施設、ろう重複障害者、ろう高齢者等の聴覚障害者福祉の関係諸団体とともに、聴覚障害者の福祉施策充実のために協議をし、これまで各々の団体が要望している事項を下記の通り統一要望として取りまとめました。
 つきましては、ぜひとも施策に反映し、必要な予算措置を講じていただきますよう、お願い申し上げます。

1.全国の聴覚障害者が地域格差なく福祉サービスを利用することができるよう、社会福祉施設等の社会資源の整備を図ってください。

(1)全ての都道府県ならびに政令指定都市で「聴覚障害者情報提供施設」が設置できるよう制度の充実を図ってください。

① 身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準第40条「聴覚障害者情報提供施設の職員の配置基準」の改正を行い、施設長の他に意思疎通支援事業、養成事業、相談事業等の担当職名を明示し、必要な職員の配置基準を明確にしてください。

② 「聴覚障害者情報提供施設」運営費金額の増額を基本に職員待遇改善および現行の都道府県1施設に支所を追加設置できる仕組みづくり、人的体制の充実が可能な条件を整備してください。

③ 電話リレーサービス事業における発展継続を図ってください。
 高度情報通信等福祉事業費の国庫補助による個々の情報提供施設への補助金交付はありますが、都道府県の枠を越えた全国共通の事業であること、その性質から、各施設の機能強化と合わせ、本事業そのもののより効率的な運営と基盤の強化が重要となります。
 また公的な事業化のためには総務省や実施施設間の相互協力・連携体制の整備 はもちろんのこと、手話通訳とは違う倫理や技術が必要な電話オペレーターの育成等を担う事務局機能が必要だと考えます。来年度においては、引き続き事業本体部分での予算拡充と、オペレーターの養成カリキュラム検討及びその育成における予算化ならびに執行可能な制度の運用を図ってください。

(2)障害者権利条約の批准、また障害者差別解消法に基づく環境整備、合理的配慮の提供の義務で、ろう高齢者を含む聴覚障害者また他に障害をもつ重複聴覚障害者が利用できるために障害福祉サービスおよび介護保険サービス等の充実を図ってください。

① 意志疎通支援事業以外の障害福祉サービスの充実を図る施策を講じ、必要な予算を確保してください。具体的にはどの障害福祉サービス利用でも意志疎通の面で保障される仕組みをつくることです。

② 全ての都道府県に聴覚障害児や聴覚障害者が、自ら選択する言語やコミュニケーション手段により利用できる障害福祉サービス、放課後等デイサービス、地域活動支援センター、グループホーム・ケアホーム、介護保険サービス、特別養護老人ホーム等の社会資源を計画的に整備してください。

③ 児童福祉法の障害児通所支援(児童発達・放課後等デイサービス)に「視覚聴覚障害者支援体制加算」を適用してください。

2.介護保険制度に関して、次のことを講じてください。

(1)特別養護老人ホームへの要介護1・2に該当する方の特例入居制度について、今後の見直しにおいても継続してください。

(2)2018年度4月の報酬改定時に長期入所において「障害者生活支援加算」の引き上げが実現したことによって、聴覚障害高齢者の生活の充実、看取り時の細やかな支援など、各施設で効果があったと報告を受けています。今後、さらに、高齢聴覚障害者が在宅で安全に安心して暮らせるよう、その重要な支援の一端を担っている短期入所事業にも「障害者生活支援加算」を適用してください。

(3)介護保険認定調査において、ろう重複障害者の特性を正確に反映される仕組みの見直しについてご検討ください。 現在の認定調査では、生まれつきの聴覚障害と他障害(精神、知的、盲など)の重複により、「情報が入らない、自分の思いが伝えられない」等から生じる行動障害やコミュニケーションの課題や困難さが評価されず、その結果として軽度に判定され、必要なサ-ビス利用ができない実態があります。
 正確に判定されるために、認定調査マニュアル・認定審査会マニュアルの変更や、認知症加算時間と同様に、「特定の聴き取り項目に該当した場合、一次判定で加点し介護度が「1段階」または「2段階」繰り上げられる方式(仕組み)の『聴覚障害者加算時間』(仮称)を作るなど、ご検討ください。

3.聴覚障害者福祉に関わる人材養成・確保を強化してください。

(1)意思疎通支援事業において、意思疎通支援体制の強化を図り、「情報提供施設」や市町村等で手話通訳者の正職員としての雇用が推進されるよう予算面および制度面で講じてください。現在、自治体で雇用されている手話通訳者の91.5%が非正規雇用という不安定な身分保障で働く状況であり(2018年全国手話通訳問題究会調べ)、健康障害を起こす手話通訳者も依然として続いています。手話通訳者の労働実態を国として把握し、状況改善策を検討してください。

(2)聴覚障害者の社会参加が広がっている中、手話通訳者、要約筆記者の養成が急務となっています。特にその従事者の高齢化が課題となっています(手話通訳者の平均年齢52.1歳、2015年同調べ)。その養成を担当する講師の養成事業と併せて、全ての都道府県において、養成事業を早期に実施するようにしてください。

(3)聴覚障害者を対象とする在宅支援の強化のため、同じ聴覚障害のある介護福祉士やホームヘルパー等の養成及び研修について、自治体の責任で手話通訳者配置等の配慮を行うようにしてください。 また、介護職員の研修についても、聴覚障害のある職員の受講について、自治体の公費負担により手話通訳者・要約筆記者が配置されるようにしてください。具体的には障害者差別解消法施行にも関わらず、養成及び研修を実施する各事業者から手話通訳者・要約筆記者派遣(事業者負担)を拒否される例が続いていることにあります。

以 上
by toyonokuni | 2019-08-27 08:10 | 協会・センターからの情報 | Comments(0)