2018年 12月 05日
~手話言語条例の必要性~障害者基本法・差別解消法等があっても必要なのか?
①平成18年「障害者権利条約」が国連総会において「手話は言語である」と定義され、
手話が国際的に認知されました。
②平成23年に改正された「障害者基本法」では、手話が言語のひとつとして認知され、
各自治体においても総合支援法の意思疎通支援事業を実施しています。
③平成25年に「障害者差別解消法」が制定され、平成28年4月1日から施行されました。
④大分県においては、平成28年「障がいのある人もない人も心豊かに暮らせる大分県づく
り条例」が施行され、障害者を取りまく環境は一歩前進しました。
上記の①~④のように各種の法整備が進む中で、手話言語条例が何故必要なのか?との疑問が出さ
れています。
法整備が徐々に進んでも、社会の中では、聴覚障害者への理解、言語としての手話の認知の普及は
十分に浸透していないのが現状です。
そして、根本的な問題はろう者が自分たちのことばである「手話」を様々な場面で奪われてきた歴史です。
幼いころから手話を使っていることをバカにされたり、人前で手話を使うことを恥ずかしいと思
もわせられることや聞こえる子供自身が聞こえない両親がいることを「恥ずかしい」と思ったり、
してきたことです。
かつて、日本の手話通訳論のい礎を築いた京都の伊藤氏の著書の中で「伊東 雋祐」ろう教育の著書の中に 君ら音を奪われて」人間としての権利をも奪われた当時のろうあ者の生活実態を知るにつけ、今こそ人間として権利回復宣言の時と考えます
手話言語法の5つの権利は「奪われた権利」の回復運動です
①手話を獲得する権利
5つの権利のうち根幹になる部分です。聞こえない・聞こえにくい子どもたちや大人が手話を身につけられる環境(教育の場) が保障されることを求めています。本人だけでなく、家族や身近な人達に手話に関する十分な情報を提供し、ともに手話を学び、手話でコミュニケーションできるようになることが大切です。また、ろう児を育てる上で保護者が情報を十分に得られ、相談できる環境を用意することも大切です。
②手話で学ぶ権利
ろう学校や大学等の高等教育機関を含む一般の学校でろう者が授業や講義を受けるとき、手話に熟達した教員が直接手話で授業をすることと、必要な場合に手話通訳が用意され、聞こえる生徒・学生と同様に学習権を保障することが大切です。 ろう者が手話で学べるためには手話に熟達した教員の養成が急務です。また、ろうの教 員への手話通訳保障も欠かせません。
③手話を学ぶ権利
「国語」の学習を通じて日本語を学ぶことと同様に、「手話」を教科として学べることが、特にろう学校で必要です。自らの言語の体系を学ぶことをとおして、ろう者が誇りを持って生きていく力を育てることができます。また、地域の小学校、中学校において、聞こえる子どもたちが英語を学ぶのと同様に、ろう者への理解や手話を学んでもらうことも大切です。
④手話を使う権利
手話で自由に会話ができること、また、手話通訳を通して社会参加ができることにより、ろう者の生活はより豊かになります。地域の集まりに参加しても話が分からず孤立したり、職場での会議や研修も手話通訳がないため疎外されたりする不自由な現状を解決するためには手話が音声言語と平等に使える制度と環境づくりが何より大切です。
⑤手話を守る権利
手話を言語として普及・保存・研究することが必要です。日本語が公的に収集・整理・保存・研究されているように、手話も同様に、手話研究機関を設立する等の体制がつくられることが大切です。
全日本ろうあ連盟作成「手話で『手話でGo²」一部引用
【文責 奈須 博幸】